ランナー膝(腸脛靭帯炎)

ランナー膝(腸脛靭帯炎)は筋肉の張りが痛みの原因であれば、鍼やマッサージで患部や患部周囲の筋肉を緩めることで症状の改善(痛みの消失・軽減)は可能です。

しかし、症状の改善後も患部に同じような負荷がかかり続けると再発を繰り返します。

では「どうすれば良いのか…」

以下、ランナー膝に対しての治療方針をご説明いたします。

症状

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の痛みの部位


ランナー膝の主な症状は「膝の外側(腸脛靭帯:ちょうけいじんたい)」の痛みですが、 

  • ジョギングでは痛みがあるが、ランニング速度を上げると痛みが軽減する(または無くなる)
  • 歩いていても痛みがある
  • 膝の屈伸動作で痛みがある
  • 膝を伸ばした状態から曲げようとすると痛みが出る
  • 膝を曲げた状態から伸ばそうとすると痛みが出る
  • 走り始め(動き始め)は痛みがあるが、温まってくると痛みが軽減してくる
  • 走っている時も痛みがあり、患部を押しても痛み(圧痛:あっつう)があるが、患部の腫れは無い
  • 患部の腫れと圧痛がある

など、状態によって痛みの出かた(症状)は様々です。

原因

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の原因としては、基本的に

  • 走り過ぎ(オーバーユース)
  • 腸脛靭帯が大腿骨外側上顆(だいたいこつがいそくじょうか)を乗り越えるときの擦れ

と言われていますが、私はその他に、 

  • 常に足の外側で接地している
  • ソールの外側が摩耗したシューズをはき続けている。
  • 「一本の線の上」に接地して走っている(一軸走法)
  • 「腰が落ちた走り方」をしていて常に太ももの前側に力が入った走り方をしている。
  • 斜面を下るときに足の外側で接地してしまう。
  • 硬い路面(surface)でのランニングの継続で常に太ももや腸脛靭帯が張っている。
  • 股関節の可動性が悪い
  • 跳ねるような走り方をしている

なども、痛みの原因と考えております。

治療

ランナー膝(腸脛靭帯炎)は、腸脛靭帯やその周囲の筋肉の張りをしっかりと緩める必要があります。

 

ランナー膝(腸脛靭帯炎)の治療としては、

  • 走っているときの痛みの出る動作(局面)
  • 痛みの出る角度
  • 股関節の可動性
  • 患部周囲の筋肉や腸脛靭帯の張り
  • 症状に関連している筋肉の張り

を確認し、

  • 腸脛靭帯の痛みに関連している筋肉
  • 腸脛靭帯をゆるめる治療経験上のポイント

を鍼やマッサージでしっかりとゆるめ、 

  • 走っているときの痛み
  • 屈伸時の痛み
  • 圧痛

が最大限改善(消失・軽減)できるよう治療していきます。 

また、治療時に、

  • 腸脛靭帯を痛めた原因
  • 腸脛靭帯に負担のかからない走り方
  • 腰が落ちない走り方にするための強化すべき筋肉
  • 腰が落ちない走り方をするために使うべき筋肉
  • 長期間同じシューズを履き続けることによる故障のリスク
  • 今後、再発させないための注意点

などについても説明させていただきます。

ランナー膝に関するQ&A

Q、当院での施術を受ける前に病院で検査をした方が良いですか?

A、はい、可能であれば、医療機関でMRIやエコー(超音波)検査などで、患部の「炎症の有無」を検査していただくのが望ましいです。「当院での治療と並行して…」または「当院での治療の経過を見て…」の病院受診でも結構です。

Q、なぜ病院の検査が必要なのですか?

A、医療機関での検査をお願いしている理由は、炎症がある場合は筋肉への治療だけでは症状が改善されない可能性があるからです。患部に炎症が無ければ「筋肉の張りが痛みの原因」と判断し治療を進めることができます。

Q、病院で検査をせずに当院で治療をすることは可能ですか?

A、はい、可能です。ただし、医療機関で検査をされずに当院での施術を希望される場合は「画像による炎症の有無」がわからない状態での施術になります。よって、当院としては「筋肉の張りが症状の原因」を前提として治療を進めていきますことをあらかじめご理解ください。

Q、練習を休まずに治していきたいのですが…

A、練習を続けながら状態改善される方もいらっしゃいますが、私の考えといたしましては、日常生活動作以外の下肢にかかる負荷を可能な限り控えて治療を進めていくことが状態改善に向けての一番の「近道」と考えております。しかし「練習を休むことができない」場合は、患部と考えられる部分に同じ負荷がかかり続けるため、

  • ゆるめたい筋肉がゆるみにくくなる
  • 状態改善しにくくなる
  • 治癒期間が長くなる

といった可能性があることをあらかじめご理解ください。

Q、ランナー膝が治らない(繰り返す)のですが…

A、ランナー膝が治らない(繰り返す)原因は、

  • 患部に炎症または患部周囲の筋肉に張りがある状態で、練習またはレースを継続している
  • 腸脛靭帯に負荷がかかり続けている
  • ランナー膝に関連している筋肉の張りが緩められていない
  • ランナー膝にならないための走動作に改善できていない(使うべき筋肉が使えていない)

など、他にも様々な原因が考えられます。

Q、ランナー膝を治すにはどうしたらよいですか?

A、セルフケアとしては、ストレッチポールなどのマッサージ効果のある物で、日々、腸脛靭帯など痛みに関連している筋肉の張りを緩めることをおすすめしています。しかし、セルフケアで症状が改善しない場合も多々あり、その場合は、当院では鍼による施術をしております。また、ランナー膝になりにくくするための「走動作」や「使うべき筋肉」のアドバイスもしております。

関連項目